目蓋の裏に焼きつくのはくだらない触れ合いばかりで鬱々するというのに
其の度にシナプスは彼の人が優しく名を呼ぶ姿を探せという
ムネーモシュネーが彼の人のぬるい唇と声で絶えず私を諌めているというのに
甘み痛みを伴ってまるで愛おしむみたいに生み出された名を探せと
ああ
やはり鬱々とする
色を乱して汚くなってしまえばいいと
もう美しくならないではやく堕ちてと
希いながら今夜もくだらない触れ合いばかりを思い出す
いつになったら彼の人は劣化してくれるのか
桃色の指先・赤色の瞳・紫色の舌先・金色の肋骨
未だに鮮やかな色彩と彼の人の喪失を
共に意識しながら閉じた目蓋には
ああ
やはり彼の人しか
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