109 meters in depth
ただ苛々して、打ん殴りたくなって、冷たい目で笑顔を作った
この嘘吐きやろうと一人で罵って、顔を真っ赤にして叫んだ
我に返ってから気が付いたよ、君の顔も真っ赤じゃないか
もし君の顔が真っ青になっていたなら
私は駆け足で其処に戻っただろうに
111 meters in depth
僕の名を呼ぶ君の声は華奢で油断すると攫われてしまいそうだ
少し掠れている高音が僕の耳をそっと撫でている
ヒュ、っと僕の喉がなく
絞めやすい頸の色彩から目を離せずにいると、
僕の耳は先程よりも華奢な声を微かに捕らえた
「××××」
耽美からは程遠い其の唇は今直ぐ滅ぶべきなのに、
君の頬はハッとするほど淡く美しい桃色だ
115 meters in depth
さびしい さびしい
いたい いたい
わたしをもっと くるしめないで きずつけて
わたし ぼくぼく わたしぼく
きみの うでの ほねが ぽこり
すてきねって よろこんでる
いたいいたいさびしいさびしい
さびしくたってしねないの
いたくたってしねないの
ぼくをもっと くるしめないで きずつけて
116 meters in depth
「医大生って響きでイラッとするよね」
土下座してるみたいに、床に蹲ってカサカサ揺れる
そんな格好じゃ泣いてるのか笑ってるのか解らない
「なんで、なんで、イラッとする、でしょ、でしょ」
でも、コレの笑い顔は泣いてるみたいに歪むから
結局コレが泣いてるのか笑ってるのか解らない
「医大生に対するイメージ、イラッ」
不器用に生に縋りついているコレ(骨肉)がまた
カサカサと、泣きたいときに笑ってる(笑いながら泣いている)
119 meters in depth
泣いていいよとか頑張らなくていいよとか
馬鹿じゃないの誰の真似なのアンタどちら様なの
止まったら死ぬとわかっている状況に
泣いていいやら頑張らなくていいやら
馬鹿じゃないの誰の真似なのアンタ何様なの
言われなくたって涙はあるし肩の力も抜ける
馬鹿じゃないの誰の真似なのアンタ神様なの
アンタはどうしたって私じゃないのに