2009 | 2010 | 2011
レサト(Lesath, Leschath, Lesuth)はさそり座υ星のこと。学名はυ Scorpii(略称はυ Sco)。
「レサト」はアラビア語由来でありlas'a(毒を持つ者の一刺しの意)が語源。
ただ、アラビア語に詳しいヨーロッパの学者Scaligerによると、Alaschaという名前が既に存在し、
al latkha(霧の中にあるもの)が語源であるとされている。
( wikiより引用 )
いくつ欠片を集めても
それは言葉を残さない
人の世界に染まらずに
雪の真似して濃く光る
宇宙のために巻かれた毛先を
すべりながら沈む突端
( 浅い眠りの夢をみる )
笑顔の人を連れながら
波紋の終わりを追っている
( 線 )
彼女は右の心臓を押さえるだろう
落ちた頭に便器の陰を残すだろう
耳の奥に大切な白をしまうだろう
( 途切れる闇 )
君は冷たさに触れながら
「これであなたは透明人間よ」と言った
今どんな気持ち?
冷たいってどんな感じ?
ふと、言葉を浴びせたくなったが
君の手がそっと僕の瞳に覆いかぶさって
瞼をそっと閉じるから、一緒に口も閉じてしまった
内部に潜む言葉が暴れて身体が温かくなったなら
君はこの手をどけて僕の瞳を覗くだろうか
( 透明人間になる )
いつもはTSUTAYAに寄ったあとどこに行く?
って訊かれて数秒固まる、私の近所にTSUTAYAはない
み・・・ミスドかな
咄嗟に答えてから、これは良い返答が出来たと
一人ほくそ笑んで自信満々に再び口を開く
TSUTAYAのあとにはミスタードーナツよ!
( 偉大な彼 )
産地直送です、
と叫びながら右手を握った
白衣が扉の奥へ消えていく
( 新鮮 )
マリオカートで奴を徹底攻撃していたら
リザルト画面を見ていた時に
心の臓が痛いよ、と奴が言った
そしてオデコをとんとん叩く
そこに心臓はないよ
輝かしい成績を横目に指摘すれば
もう一度オデコをとんとん叩いて
心臓はないけど此処にはこころって臓器があるんだよ
とオデコにハートマークを描いた
( ハート )
右耳にぶら下がる君はいつも奇麗だ
( 安心 )
腰が曲がったおじいさんと夜の領域を探してる
たまごポーロを大量に食しながら
シュークリームのカスタードを深追いする午前四時に程近い午前三時
そこはまだ夜だった
( 鉱石 )
日が沈む頃にキリンの背を滑らせて
そしたら人は優しくなれる
空が泣く時に腕に朱を差して
そしたら人は寂しさを理解する
( 感覚 )
治りかけが一番グロテスク
( 痣 )
総じて烏滸がましいのが人間だ
( 神の子ら )
涙なら此処より奇麗な場所に置いてきた
真白に塗られた宝箱に鍵を掛けて
飛びたがる人間の肩甲骨を掴んで
揺りかごで愚図る熊を戒めて
奇麗な場所に置いてきた
( 泪 )
治りかけの傷口から入り込む英語に
ラテン語とドイツ語を混ぜるのが
異様に上手い杓文字は日本製だった
そして私は妙に納得して眠りにつく
日本製、それは今も魔法の言葉として君臨しているのさ
( 魔法の日本 )
総じて怯えているのが人間だ
( 神の子ら )
麻痺した皮膚に君の肌は冷たすぎる
( はしる )
絶望の淵はヌルヌルしているらしい
( 淵 )
円盤の上で行く先を見失う天使
透けている白の下は黒くて
これのどこが天使なのかと思う
しかし当人には訊けないから
白さを保つ円盤の中心部を
いつまでも強く押している
( 天使 )
鳴かぬ鳥になりたいと願いながら、本当に願っているのは一度消えてしまうことではないかと気がついて愕然とする
( 輪廻 )
冷たい手首を春の風が通り抜ける
浄化される気持ちは生まれない
気まぐれが触れた手首は
冷たさを増すばかり
( 吹き抜け )
黒が表か白が表か
白が裏か黒が裏か
オセロをしながら疑問に思う
どちらがいいの
どちらがいいの
血液の付着したガーゼを広げたら
黒と白が混在していた
血がジワッと染み込んで
裏も表もありゃしない
どちらなの
どちらなの
白と黒で連想される
天使と悪魔も混乱するはずだ
天使が悪魔で悪魔が天使で
悪魔も天使で天使も悪魔で
どちらがのぞみ
どちらがおのぞみ
結局誰も答えを知らない
脳内で展開されるだけの
二項対立が溢れた世界
裏と表
白と黒
天使と悪魔
人間はなぜ自らの手で
創り出してしまったのか
言語という越えられない壁を
人間はなぜ神の真似事を
何度も試みるのか
骨と肉と柔らかさで出来た体で
( 世 )
金色の野を駆ける彼女の密やかなレクイエムが聞こえる
( 青い彼女 )
私を眠りから遠ざけようと躍起になる
14錠の薬は全て円盤の容をしている
宇宙空間へ連れて行ってくれると嘘をついて
彼らが行なうのは睡眠妨害ばかり
午前四時に君の部屋は宇宙になります
だから眠らないようにしていなさいよ
そんな屁理屈いらないから
私を午前四時に起こせよ宇宙人
( 円盤 )
錠剤+
食欲−
筋力−
倦怠+
通院+
医師+
発汗+
体重−
睡眠±
体温±
出費+
収入−
娯楽−
そもそも出発点は何処なのかわからないのに
±つけたってなんの意味も無い気がしてきた
プラマイゼロの人生の何処に満足するのだろう
”マイナスになるならプラマイゼロの方がいい”
ごもっとも、つまるところ人間は
何事もプラスがよろしですか?
いいえいいえ違います
ほれほれ言葉に振り回されている
収入+で、出費+
これよろしですか?よくないですね
体重−で、脂肪−
これわるいですか?いいえ、大概の人は喜びますね
言葉は常に我々を振り回すのが大好きですね
そして其れに依存しきって生きている我々ですね
ところでプラマイゼロの人生を生きようとする人は
プラスマイナスの記録は完璧なんだろうか
という、屁理屈の塊となって眠りにつく私の肉体(そして精神)
( ± )
寝溜めの有効無効を身を持って実証しています、
と扉に張り紙をして悠々と寝る昼または夕方に掛けて、
自堕落という魔物を祓う札は実に健気に寝室を守り抜いてくれているらしい
( 効力 )
人の死は爪の間にこっそり忍んでいる(愉快犯または其れに準ずる存在の仕業)
( あいだ )
鋭く冷たく突き放すための蠍の尾
人間の持つ貧弱な肉では駄目だと
硬さを求めて爪を伸ばし始める夏
夜空ギリギリを這う蠍に憧れても
伸びてくる爪は軟弱そうな姉の指
ぷすりと刺す真似をしても空しく
人間の肉が柔らかさを増すだけだ
柔らかさを拒絶する部位を探して
辿り着くのは矢張り分岐した突端
今日も両の手の突端を仰ぎながら
鋭さで刺し貫く蠍の尾を夢見てる
( 蠍の尾 )
傍観者数名に埋もれながら
馬鹿と親父の攻防を眺めている
馬鹿は簡単に学ばないのか
親父は固執し過ぎなのか
判決を下す裁判員の面持ちで
脳裏に浮かべた挽き割り納豆
( 納豆 )
強ばる筋肉の中にこそ優しさは溢れているらしい
筋肉の産まれる過程で優しさが収縮を可能にしたらしい
偉大すぎる優しさだが誰も其の姿を捉えられない
溢れているはずなのに誰も優しさの姿を知らない
( やさしさ )
わたしは大丈夫なのに
振り向くと白い包帯が
足首から肩から腕から
地面に垂れて尾を引く
わたしは大丈夫なのに
天使の心遣いはいつも
見当違いに飛んでいく
其の後ろ姿はさながら
優しい悪魔の雰囲気だ
( don't be afraid )
陽気な右の馬がスクールバッグを強請ったら
寡黙な左の馬は黄色いタイツが欲しいという
( 我が侭 )
嵐の日に濡れそぼったおじいさんと四つ葉のクローバーを探してる、
白と水色に包まれながら永遠の如く君臨している、
あの四つ葉のクローバーを、
( 嵐の日 )
ぶっ飛びすぎ書物と友達が評した
彼の有名な古事記を片手に
最高にクリーミーなココアを煽れば
風呂上がりのビールさながらの爽快感に包まれる
其の傍らで神を産み続けるイザナギに
空気読めよと注意するのも億劫で
莫迦らしくなるほどの爽快感
あぁ、素晴らしきクリーミー
( クリーミー )
白熊の中腹で夢を見たがる子供
( Kind )
泣き嗄らした声が本当は穢いことを知っている
しかし私のための涙が流れ声が嗄れたのなら
其の断片から何かを捜し当てたいと思うのだ
( 涸れる )
冷たい手で掴んだ小石にあの頃を探す
色彩の失われた中
校庭の赤い実だけが
鮮明に甘美な甘さを匂わせる
傘一本で飛んでいけた心の奥
潜んだ黒が表出してから
何年経ったかわからない
其れでも空はあの頃と変わらないと
のたまうのは、この口だ
(脳との接続は65%完了しています)
( 石の記憶 )
要らないものばかり詰まった下腹部がご機嫌斜めの状態で外壁を塗り替えようと躍起になっている
( 意地 )
不眠と呼ばれる領域を、細くなった静脈と共にひた走る
( 其処は湿原 )
友人と言われる存在にはあらゆる事を話さなければならないのかという疑問が膨らむ、
話してくれないと愚痴愚痴言っている隣に座る人を見ながら、
おまえは誰なんだと叫びたがる脳を牽制しようと躍起になるのは、
何処の器官だろうと片側が騒ぎ出す、
姿の掴めないものが溢れる時間に、
響く言葉だけが影を持って私を弾いていた
( オーロラ )
あの地平線で輝けるようにと触手を握りしめたお姫様が愛ずるのは緑色なのかもしれない
( 愛ずる )
眩しさに嚔が出て、
寝返りの度に骨が鳴いた
寂しさに抗う四肢はなく、
浮いた踵だけが真実を覗いて
間違いを正す指先は、
沈む骨盤ばかりを意識している
陰湿さを生み出す 5gram×6
彼らの陰謀しかし同時に希望
(であって欲しいという願望)
( むずむず )
情緒は不安定です
精神は未完成です
指先は性感帯です
( レポート )
ぼかした言葉で何を伝えようとしているのか
明確な言葉で全てを伝えるべきではないのか
私の道はいま二つに裂けて
太陽の裏が隠れてしまった
( 道 )
切ってしまいたいものほど
しぶとく繋がっている
( ちょきん )
さて いつ爆発するのかしらん
笑顔で時限爆弾を飲みこむ
(水道水で流し込む)
( 聞こえない )
泣き顔見たさに其の目じりの皺を抓む
まるで犬みたいな笑顔が大嫌い
叩き付けられた指の力を知ってからは、
剃り残しのヒゲを横からじっと見つめてる
午後2時半、きっともうすぐ3時になる
伸びたのか、剃り残しか、伸びたのか
思い出したように、血の色を教えてあげようか、って
君、宇宙人になりますか?ぐらい奇妙な響き
アラビア数字の素直さとは正反対、
あの人の笑顔が一発(=嘘っぱち心配顔)
母が笑いながら、あの人は犬みたいだと、
もし犬だったらビーグル、特に顎の辺りが
ふとした瞬間の横顔がビーグル犬の趣、
でも私は目元が狐にそっくりだと思うんだ
( ビーグル )
涙の理由を知りたくて
荒れた呼吸を止めてみる
でも探すにはまだ早い
何処かがそっと囁くから
涙を拭わず目を閉じる
吐き出した息に続いて
右側の肺がヒクリと揺れた
( cry,cry,cry )
薄く開いた唇から漏れる、嗚咽が聞こえるのって素敵
重ねられた腕の間から覗く、感情が何であっても素敵
誰かと比較して、誰かと比較して、早く誰かと比較して、
内部に存在できるようにして、不特定多数の中に私を存在させて、
其処に含めて、私も含めて
優しさはすぐ忘れてしまうから、きっといらないから、もう十分与えられているはずだから、
いらないものをあげる、私の残滓をあげる、
もうきっと誰も必要としない滓だらけの穴倉から大切に大切に抱いてきた、
私の残滓、
( 稚拙な遊戯 )
Every could has its silver lining.
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